特定商取引法に定められた5種類の取引(訪問販売等)についてクーリングオフ権を行使する場合には、各取引に応じその権利行使期間がありますから、権利行使期間内に必ず発信する必要があります。
ところで権利行使期間の起算日についてですが、起算日は法定書面(法律で定められたとおりの記載を行っている書面であり、細かい要求がある)を受領した日であり、その日を1日目として各取引の権利行使期間内(例として訪問販売であれば8日、マルチ商法であれば20日)に行使(クーリングオフ通知を発信)しなければなりません。
各取引についての内訳についてはクーリングオフ期間全一覧を参考にして頂くとして、問題なのは、クーリングオフ期間が経過していると思われる場合においても、クーリングオフが可能になる場合があり、それが条文で定められている訳ではなく、裁判例や通説等において実務上(実定法上)認められているということであり、その事実さえ知らない事業者も数多く存在します。
このため、クーリングオフ期間を経過したとされるものについては、クーリングオフは一切認めないなどの主張を展開しますが、その主張こそ本末転倒であり、そもそもクーリングオフ権の権利行使期間の1日目として数えられる起算日自体が存在しないという実態が数多くあるのです。
要するに、契約者は法定書面を交付され初めて、クーリングオフの権利行使期間の起算が開始されるのであり、法定書面を受け取っていないか又はその書面自体に法的な欠落や不備があり法定書面とは解されない場合には、クーリングオフ権利行使期間の起算日自体が存在せず、いつまでたっても起算されないことになり、契約締結後、数年を経過した場合においても、クーリングオフが認められることになるのです。
現状では、このような契約書面の不交付やその不備を指摘、主張することで裁判所での判断もクーリングオフを正面から認めております。但し、その主張自体が、クーリングオフ権の権利の濫用と言える程に悪質なものであれば、反対に認められない可能性があります。
とはいえ権利の濫用というものは、契約者本人に事業者に対し自らが提供されたサービスだけを享受し、既払金は返還請求したいと当初より考えていた場合などの悪意があった場合など、明らかに信義に反した対応を行わない限り認められにくいものであり、実務上そのような事案は殆ど無く、原則、契約書面の不備等を理由としてクーリングオフが可能になります。
特定商取引において、その契約解除(取消権)の有効期間は契約締結時より最大で5年であり、不実告知や事実の不告知による誤認契約に基づく取消の主張を展開する前に書面不交付等を根拠としたクーリングオフを検討する方が賢明です。(クーリングオフ権については5年との条文上明確な定めはありませんので、権利の濫用と言える程で無ければ、5年を超えてもその権利行使を主張することは問題ありません)
契約取消での原状回復(契約の巻き戻し)に関しては、不当利得などの自身に不利益な部分も生じ得ますが、クーリングオフはあくまで無条件解約のため、このような不利益は契約解除事由の中で、最も生じにくいと言えるでしょう。
契約書面の不交付やその不備に関して、具体的にどのような不備が存在するかは、当事務所でご相談を承っておりますので、お気軽にご相談下さい。
当事務所は、クーリングオフ、悪質なクレジット契約・リース契約の解約、中途解約、支払い停止の抗弁等に関する内容証明を作成します。また、クーリングオフ期間経過後やクーリングオフ適用外の契約においても、適切な解約事由をもって、支払い停止の抗弁、既払金返還請求のための内容証明を作成します。無料相談・ご依頼は大阪・兵庫・京都等の近畿圏に限らず全国対応にて行います。相談内容によっては、訴訟等を踏まえ専門の弁護士に委任した方が良い事案もありますので、その際は紹介等させて頂きます。
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