特定商取引法とは、違法勧誘や違法契約が横行し易い訪問販売などの6種類の取引類型に関して、消費者保護のための契約の解除権・取消権及び違法行為に対する行政規制並びに刑事罰の規定等を盛り込んだ、言わば悪徳商法を規制する法律です。
民法や消費者契約法には行政規制や刑事罰に関する規定がないことから、違法勧誘や違法契約に対する十分な抑止力がありません。このため、悪徳業者による被害拡大を防止する目的で特定商取引法が規定されており、消費者契約法よりも更に強力に消費者を保護する法律となっております。
特定商取引法には、刑事罰の規定があるため、告訴や告発等で警察権力を動かしたり、行政に対しては「主務大臣への申出」を行い、行政監督権を発動させ、立入検査や業務停止等を行わせることができます。このため、これらの圧力(抑止力)により、民事上の問題(契約解除や取消による返金請求等)もクリアになることが多くなります。
実際に問題が肥大化した事件などでは、特定商取引法の規制が平行して発動していることが多く、国民生活センター等に悪徳商法に関する消費者からの苦情が溜まる等する中で、行政の立入等による調べが入り、業務停止などの行政処分が下り、その頃には被害者の数も膨れ上がり、民事裁判が全国各地で起き始めます。
平行して告訴や告発による警察による捜査も始まり、起訴されることで、さすがに事業者側としても減刑(執行猶予)を求めるわけですが、この段階で被害者に対する被害弁済が行われるケースもあります。但し、他方で、このような悪徳業者は開き直っているケースもありますし、また消費者から吸い上げた金銭はその殆どを既に使っているか、海外の口座に移し替える等し隠しているケースも多々あります。
悪徳商法に対する被害に遭った場合には、自らで判断するのではなく、まずは法律専門家や消費者センター等に相談をし、自ら対応が可能であれば自身でその処理を行い、自らで行うことが困難でリスクが高い場合には、多少費用がかかっても専門家に依頼した方が返金されない等のリスクは大きく軽減できるはずです。この辺りは専門家に依頼する費用対効果等を考慮に入れ、後悔の無い判断で処理することをお勧めします。
特定商取引法は、訪問販売など消費者トラブルが生じやすい特定の取引類型を対象に、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まることにより、消費者取引の公正を確保するための法律です。
訪問販売 | 自宅への訪問販売、キャッチセールス(路上等で呼び止めた後営業所等に同行させて販売)、アポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出して販売、展示会販売)等 |
通信販売 | 新聞、雑誌、インターネット(インターネット・オークションも含む)等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込を受ける販売(「電話勧誘販売」に該当するものを除く。) |
電話勧誘販売 | 電話で勧誘し、申込を受ける販売 |
連鎖販売取引 | 個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の販売 |
特定継続的役務提供 | 長期・継続的な役務(「えきむ」と読む。サービスの意味)の提供とこれに対する高額の対価を約する取引(現在、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6役務が対象) |
業務提供誘引販売取引 | 「仕事を提供するので収入が得られる」と誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引。内職商法・モニター商法・資格商法など。 |
事業者に対して、消費者への適正な情報提供等の観点から、各取引類型の特性に応じて、以下の規制を行っています。違反行為は、改善指示、業務停止の行政処分または罰則の対象となります。
氏名等の明示の義務づけ | 勧誘開始前に、事業者名、勧誘目的である旨などを消費者に告げることを義務づけ。 |
不当な勧誘行為の禁止 | 不実告知(虚偽説明)、重要事項(価格・支払条件等)の故意の不告知や威迫困惑を伴う勧誘行為を禁止。 |
広告規制 | (1)広告をする際には、重要事項を表示することを義務づけ。 (2)虚偽・誇大な広告を禁止。 |
書面交付義務 | 契約締結時などに、重要事項を記載した書面を交付することを義務づけ。 |
消費者と事業者の間のトラブルを防止し、その救済を容易にする等の機能を強化するため、消費者による契約の解除(クーリング・オフ)、取消し等を認め、また、事業者による法外な損害賠償請求を制限する等のルールを定めています。
クーリングオフ | 申込みまたは契約後一定の期間(※)、消費者は、冷静に再考して、無条件で解約できる。 (※)訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供においては8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間。通信販売には、クーリング・オフに関する規定はない。 |
意思表示の取消し | 事業者が不実告知や重要事項の故意の不告知等の違法行為を行った結果、消費者が誤認し、契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときは、消費者は、その意思表示を取り消すことができる。 |
損害賠償等の額の制限 | 消費者が中途解約する際等に、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設定。 |
当事務所は、クーリングオフ、悪質なクレジット契約・リース契約の解約、中途解約、支払い停止の抗弁等に関する内容証明を作成します。また、クーリングオフ期間経過後やクーリングオフ適用外の契約においても、適切な解約事由をもって、支払い停止の抗弁、既払金返還請求のための内容証明を作成します。無料相談・ご依頼は大阪・兵庫・京都等の近畿圏に限らず全国対応にて行います。相談内容によっては、訴訟等を踏まえ専門の弁護士に委任した方が良い事案もありますので、その際は紹介等させて頂きます。
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