クーリングオフとは、法で定められた一定の期間内であれば、消費者などの契約者(申込者)が相手事業者との契約を一切の理由なく無条件で解除(撤回)することのできる、解約に関する権利の中で最も強力な権利です。
消費者は事業者と比較して、購入する商品やサービスに関して、当然ながら無知で交渉力は乏しいものです。他方、事業者は販売する商品やサービスに関する高い情報・交渉力を持っております。商品知識もその商品にかかる業界の情報量も通常、事業者側の営業マンの方が長けているでしょう。このため、契約するかどうかの判断は事業者側の説明等の勧誘実態が大きく作用します。
営業マンが、ある事実について、仮に嘘をついて勧誘(虚偽説明)をしたとしても、商品内容等に無知な消費者はとりあえずは信ずるより他ありませんし、仮に信じなかったとしても、営業マンの圧力に押され契約をしてしまうかもしれません。
特に、クーリングオフ制度のある販売形態は基本的に不意打ち性が強いものが多く、勧められた商品が本当に必要なのか、またその商品で本当に良いのか、価格は相場並かなど、冷静かつ客観的に判断することができない状態で契約することが多々あります。
このように、契約意思が不十分な状態で契約してしまった場合には、解除や取消、無効主張が可能な場合があります。通常、民法96条(詐欺)や消費者契約法、特定商取引法上の取消権を行使したり、民法95条(錯誤)による無効を主張したりしますが、相手業者がその事実につき、全面的に争う姿勢を見せてくると、最終的に訴訟に発展する場合もあり、契約者にとっては立証責任の点からも効果的とは言い難い主張です。
ところが、クーリングオフ制度では、クーリングオフ期間内であれば、理由や条件無くして一方的に契約の撤回若しくは解除が可能です。要するに、クーリングオフとは、例え販売業者側の詐欺的で強引な働きかけで不本意な契約を申込(契約)した場合であっても、法律で定められた一定期間の間に十分に再検討し、契約の可否を判断でき、仮に撤回(解除)する場合には、相手業者の承諾・交渉・理由などを一切必要とせず、一方的な通知によりその効果を生じさせる権利を言います。
クーリングオフは申込者(契約者)の権利であり、この権利は一定の期間内で行使できます。仮にその期間を過ぎてしまった場合、例外的なケースを除きクーリングオフの権利は行使できなくなってしまいます。
又、この「一定の期間」とは取引形態により分別され、原則、起算点は法律で定められた書面を交付された日になります。因みに、訪問販売や電話勧誘販売などは8日間、マルチ商法(連鎖販売取引)や内職商法などは20日間となります。クーリングオフ期間全一覧
但し、例外として、契約書が法律で定められた書面でなかったり、そもそも契約書が交付されていない場合には、クーリングオフ期間は進行していないため、いつでもクーリングオフが可能となります。
契約書面不交付・契約書面不備
販売業者が不実の告知(虚偽説明)または威迫行為(脅迫に至らない程度の人に不安を生ぜしめるような行為)を行ったことにより、申込者(契約者)が誤認または困惑してクーリングオフを行わなかった場合には、申込者(契約者)が改めて、販売業者からクーリングオフができることなど省令が定める法定書面を受領してから8日を経過するまでの間は、いつでもクーリングオフができます。
尚、このようなクーリングオフを妨害する行為は、契約後に限定せず、契約前の営業トークの中で行われた場合も含みます。また、そもそもクーリングオフの対象となる販売形態(訪問販売や電話勧誘販売など)や事業者間契約であっても特定商取引法の適用範疇にある取引である場合に、「この契約はクーリングオフができません」等と契約書面に記載されている場合や、それを口頭で告げた場合にはクーリングオフの妨害行為となりますので、いつでもクーリングオフが可能となります。
事業者間契約におけるクーリングオフについて
クーリングオフはクーリングオフに関する書面を発信した時にその効力が生じますので、発信日がクーリングオフ期間内である必要があります。一般的に意思表示は相手に到達したときにその効力が生じますが、クーリングオフは例外的に発信により効力を生じさせます。このため、例えば訪問販売において、仮に相手への到達日が法定書面を交付されてから9日目以降であったとしても8日目までに発信しさえすれば問題ありません。又、不在、受取拒否、宛先不明のような到達できない場合であっても、クーリングオフの効力は妨げられません。
そこで、発信日が重要になることから、クーリングオフ期間内にクーリングオフ通知を発信したことを証明するために、内容証明郵便により発信することが重要です。一般的なハガキではいつ発信され、またそのハガキに記載された内容がクーリングオフに関するものかを証明することはできません。加えて、販売会社に支払った既払金の返還を求めるためには、配達されたことを証明する配達証明も付けることも重要です。
クーリングオフを行使することで、申込後の場合には契約は撤回され、締結後の場合には解除されます。そして、契約当事者の双方に原状回復義務が生じ、契約者の支払代金は販売会社から返還され、契約者は受け取った商品を返還しなければなりません。クーリングオフの効果をさらに詳しく
当事務所は、クーリングオフ、悪質なクレジット契約・リース契約の解約、中途解約、支払い停止の抗弁等に関する内容証明を作成します。また、クーリングオフ期間経過後やクーリングオフ適用外の契約においても、適切な解約事由をもって、支払い停止の抗弁、既払金返還請求のための内容証明を作成します。無料相談・ご依頼は大阪・兵庫・京都等の近畿圏に限らず全国対応にて行います。相談内容によっては、訴訟等を踏まえ専門の弁護士に委任した方が良い事案もありますので、その際は紹介等させて頂きます。
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